ケアマネジャーは変えてもいいの?

悩む女性

介護保険を利用している家族が担当のケアマネジャーに対して「ケアマネさんが苦手で、ほとんど話したことがない」「何かありませんか?と聞かれても、ありませんと言ってすぐに帰ってもらう」などと言っている人を良く見かけます。

また、「ケアマネさん変えないの?」と尋ねると「変えていいの?」と返ってきます。介護保険を利用している家族でも多くの人がケアマネジャーを変えていいことを知らないのです。

そうです!ケアマネジャーは変えていいんです!!

なぜ、変えていいのか。
それは、ケアマネジャーも介護保険サービスの一つだからです。

たとえば、介護保険サービスでデイサービス(通所介護)を利用する時、体験利用をする方が多いのではないでしょうか。そして、その中から利用者本人に合ったデイサービスを選んで利用します。

また、利用している間に利用者本人の状態が変わったり、不都合を感じた場合は、別のデイサービスに変更してサービスを受ける方もいます。

このように基本的に、介護保険サービスを利用する上で利用の決定権を持っているのは利用者本人もしくは家族です。そして、ケアマネジャーもその介護保険サービスの中の一つなので、担当のケアマネジャーを変えることは何も問題ありません。

つまり、最終的にどのケマネジャーを利用するのかを決めるのは利用者本人や家族なのです。

そこで今回は、「ケアマネジャーを変える前に知っておくべきこと」についてご紹介します。

なぜケアマネジャーを変えたいのか?

ケアマネジャーを変えたい人は、まず「ケアマネジャーの何が苦手なのか?」を考えてみて下さい。

たとえば、「本人の思いを聴いてくれない」「いつもムスッとしている」「家族の意向を聞いてくれずにサービスを押し付けてくる」などでしょうか?

介護保険サービスにおいてケアマネジャーは、利用者の生活を支えるサービスを取りまとめて調整するといった重要な役割を果たします。だからといって、利用者本人や家族が無理をしてまで付き合う必要はありません。ケアマネジャーは他にもたくさんいるのです。

しかし、一言で「ケアマネジャーを変える」といっても簡単なようで簡単ではありません。では、どのようなケースだったら、ケアマネジャーを変えた方がよいのでしょうか。

はじめに、担当のケアマネジャーをすぐに変えた方がいいケースについてお話します。

ケアマネジャーとの関係も人と人とのお付き合いなので、やはり性格的に合う合わないがあるでしょう。

さらに、ケアマネジャーには利用者本人や家族について様々な個人情報を話さなくてはいけません。

具体的には、介護のことや生活のことだけではなく、収入なども話す必要がります。そのため、まずは担当のケアマネジャーがそういった「個人的なことを話せる相手かどうか?」が大切です。

本来はそれを上手に聴き出すこともケアマネジャーの役割ですが、相性が合わない相手だと話すこともできないのではないでしょうか。

もし、整理的に無理と思っている場合は、改善の使用がないことなのですぐに変えることをお薦めします。

次に、ケアマネジャーを変えることを検討した方がよいケースについてお伝えします。

たとえば、ケアマネジャーに対して「話しにくい」「細かいい部分まで話したくないな」という気持ちが心の中にあり、困ったことがあっても言えない時や、「この人のことは使用できないな」と感じる場合は変えることを検討してもいいかもしれません。

その他にも色々な理由で担当のケアマネジャーを変えたと思っている方がいると思いますが、ケアマネジャーも人間なのです。機械のように何事も完璧で抜けがない人はいません。

ケアマネジャーの選び方の項目でもあるように、経験値によって知っている情報の量も差があります。また、個人個人の持っている元々の資格によっても得意分野と不得意分野があります。

たとえ、不完全な「人」がやっていると思っていても、必要な情報や知識が不足していると嫌になるときもあります。ときには、「ベテランのケアマネジャーがいいのではないか?」と思ってしまうこともあります。

でも、知らないことは「知らない」ときちんと正直に伝えられるケアマネジャーだったらどうでしょうか。さらに後から、きちんと調べて必要な情報を提供できるケアマネジャーであれば逆に信頼感が増して安心です。

このように、ケアマネジャーを変えたいなと思ったときは「情報が必要になった時に担当のケアマネジャーが必要な情報を提供してくれているのか」「聞いたことにはきちんと答えてくれているのか」「色んなことを丸投げしてこないか」「分からないことも真摯に対応してくれているか」などを見て、変えるかどうかを検討するとよいです。

もし、「いい人なんだけど・・・頼りない」と言った不満であれば、変えるのは少し待って下さい。

なぜなら、「担当のケアマネジャーを信頼できるどうか」ということが一番大切だからです。ケアマネジャーに対して「いい人」だと感じるのであれば、関係性を改善していく手立てはあります。

上記にあてはまらない場合もたくさんあると思いますが、「ケアマネジャーを信頼できるかどうか」ということがとても重要になってきます。

変更した時のメリットとデメリット

次に、ケアマネジャーを変更する前に知っておかなければいけないことは「変更した時のメリットとデメリット」についてです。

まず、メリットとしては以下のようなものがあります。
・新たに関係を築ける
・今まで不安、不満に思っていたことが解消されて気持ちが一新できる
・ケアマネジャーが変わることで違った情報を提供してもらえる
・信頼して付き合うことができるようになる

特に、私が感じる一番のメリットとしては、「ケアマネジャーが変わることで違った視点でケアマネジメントをしてもらえる」ということです。

ケアマネジャーは専門的な知識を持ったプロではありますが、それぞれの知識量や経験値によって個人差があります。また、個人が持つ正確や特性によっても提供されるマネジメントが大きく変わってきます。

その点からも、違う人間がケアマネジメントすることで新たな問題点が見えてきたり、解決方法が見えてきたりすることもあるのです。もちろん、今までと支援内容が変わらないこともあります。それは逆に、現状としては今までのケアマネジメントで良かったという証なのかもしれません。

次に、担当のケアマネジャーを変更した時のデメリットです。

通所系サービスなどとは違って、ケアマネジャーによるサービスはお試し利用ができません。そのため、ケアマネジャーが変わったとしても、新しいケアマネジャーがどんな人なのかわからないのです。

もちろん、ケアマネジャーを変更する時には「ベテランがいい」「男性がいい」「女性がいい」などのリクエストはできるかもしれません。しかし、ベテランだからといって優秀とは限らないし、希望通りの人だからといって相性が合うかどうかはわかりません。

このように、たとえ担当のケアマネジャーを変えたからといって、必ずしもうまくいくとは限らないのです。その点は一番のデメリットと言ってもいいかもしれません。

また、そのほかのデメリットを以下にあげます。
・新たに関係を築いていかなければいけない
・一から利用者本人や家族の情報を提供するために詳しく話さなくてはいけない。

ケアマネジャーが変わる場合は、基本的には前任者から後任者へ利用者に関する情報が引き継ぎされるケースが多いです。しかし、担当のケアマネジャーが変わった時点で再度、一からアセスメント(情報収集をして課題を抽出すること)をする必要があります。そのため、ケアマネジャーが変わるたびに一から利用者本人や家族の状況を話さなければいけません。

また、これは面倒と思う方とそうでない方がいると思いますが、ケアマネジャーの所属する居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)も変わる場合は契約から取り交わす必要があります。

基本的に契約内容はどこも似たり寄ったりですが、すべての説明を聞いて必要な書類に署名・捺印をしなければいけません。事業所によっては何部も契約書類があるので利用者本人控えと事業所控えとで何度も名前と住所を書き印鑑を押すのか……という状況になることがあります。

このように、ケアマネジャーを変更することによって、メリットとデメリットが生じます。それらも理解した上で、「ケアマネジャーを変更するべきなのか?」を家族で話し合ってみることも必要です。

変更の仕方

いよいよ変更する場合についてです。

変更と言っても介護支援事業所ごと変えてしまう場合と、事業所内で担当ケアマネジャーだけを変える場合と二通りあります。

しかし、事業所によってケアマネジャーが一人しかいない所や複数名いる所もあります。そのため、ケアマネジャーが一人しかいないケースでは必然的に事業所ごと変えることになります。

まず、事業所を変えずに担当ケアマネジャーだけを変えるケースです。

たちえ担当ケアマネジャーに不満があったとしても、面と向かって「あなたじゃない人がいいです」と、ハッキリとは言いにくいものです。では、事業所の誰に伝えればよいのでしょうか。

介護支援事業所と初めに交わした契約書や重要事項説明書に、苦情相談窓口として事業所の連絡先や管理者の氏名が記されています。この事業所の相談窓口へ連絡し管理者と話します。

「苦情ではないのに……」と思われる方もいるでしょうが、苦情相談窓口は事業所のサービスに関する相談もすべて受け付けるようになっていますので安心して下さい。

ただ、変更したいと言っても「なぜ変更したいのか?」は必ず聞かれると思いますので、そこはきちんと本当のことを伝えることが大切です。そこで、その事業所としての対応が異なってきますが、変える方向に動いてもらえるように、利用者本人や家族からもきちんと話しましょう。

なぜなら、変更する理由をきちんと管理者へ伝えずに新しいケアマネジャーを紹介してもらうと、希望に沿わない人が担当になってしまう可能性があるからです。こうしたことから、変更理由は「経験不足で頼りなかった」「私の話をじっくりと聞いてくれない」というように具体的に伝える必要があります。

そうすることで、あなたの希望に沿ったケアマネジャーを紹介してもらうことができるでしょう。あとは、後任の人に対する希望などをきちんと伝え、希望に沿ったケアマネジャーを担当にしてもらえばいいのです。

次に、事業所ごと変えるケースです。

上記と同じように、直接ケアマネジャー本人に「事業所を変更します」と伝えることができる方は話しをしても問題はありません。なぜなら、ケアマネジャーは変更したいといっている利用者の意見を無視することも拒否することもできないからです。

ただ、大抵の人が「本人に直接伝えることは無理だ」と思われるのではないでしょうか。

そのような時は、先に次のケアマネジャーを見つけましょう。
では、実際にどのようにケアマネジャーを探せばよいのでしょうか?

ネットの情報サイトや事業所のホームぺージで近くの事業所の情報は簡単に見ることができます。そこで目ぼしい所を探して直接電話するパターンがあります。

または、知り合いなどに聞いてケアマネジャーを紹介してもらう方法です。この場合は、その紹介者から新しいケアマネジャーに話をしてもらえるので、負担なく話も早いことがメリットです。

しかし、事業所やケアマネジャーを紹介してくれるような知り合いなんていない方がほとんどではないでしょうか。

そんな時は、デイサービス(通所介護事業所)やホームヘルパー(訪問介護事業所)などサービス利用している事業所のスタッフに話をして、ケアマネジャーを紹介してもらうパターンもあります。

ただ、この場合は紹介してくれる事業所と交代する前のケアマネジャーとのお付き合いの問題があります。そのため、交代する前のケアマネジャーには、どのサービス事業者からの紹介ということを伏せておくなどの配慮も必要かもしれません。

個人的には、デイサービスなどのサービス事業所から紹介してもらう方法がおすすめです。なぜなら、サービス事業所はたくさんのケアマネジャーを知っているからです。また、「何が嫌でケアマネジャーを変えたいのか」を伝えれば、その点も踏まえて本人や家族と合いそうなケアマネジャーを紹介してくれるはずです。

その際の注意点は、さきほども述べたように「ケアマネジャーとのお付き合いへの配慮」と「相談するスタッフを選ぶこと」です。例えば、デイサービスのいちスタッフに話しても、介護保険のことも詳しく知らないスタッフではその相談を聞いてどうすればよいのかわかりません。

そのため、「きちんと役職についたスタッフに話す」もしくは「役職のついたスタッフへ話がつながるように話す」ということが大切です。

そして、紹介してもらったケアマネジャーに訪問してもらい、今までの経緯を説明して、今後ケアマネジャーを変更するまでの流れなどを詳しく話し合っておけばケアマネジャー同士で対応してくれます。

もちろん、事業所や新しいケアマネジャー次第で「変わることは直接自分で、今までのケアマネジャーに連絡してください」と言われることもあります。そのため、事前に「いつだれが変更の件を伝えるのか」を決めておくといいかもしれません。

また、もしかすると担当を変更することを聞いた今までのケアマネジャーから連絡がくるかもしれません。その時は、「変わります」ときちんと話すか、事前に新しいケアマネジャーへ「話しにくいので、連絡する必要があれば、新しいケアマネジャーを介して話したい」ということを伝えておくとよいでしょう。

担当のケアマネジャーを変更するときは、後者のやり方で対応しているケースも多くあります。しかし、自治体によってはきちんと解約する書類が必要だったり、解約することを利用者本人もしくは家族から聞かなければ行けなかったりなどのルールがある場合もあるので、その時はそれに従う必要があります。そうでない場合は、後者で問題ありません。

このように、実際にケアマネジャーを変える時は、利用者本人や家族が直接ケアマネジャーに変更の意思を伝えずとも行うことが可能です。できるだけ後任のケアマネジャーを介して手続きを行うことによって、ケアマネジャーを変えれば利用者の負担はとても少なくなるのではないでしょうか。

変更しなくていい付き合い方

これまでの話をきかれて「ケアマネジャーを変えることって、こんなに大変なのか・・・」と感じた方もなかにはいるのではないでしょうか。

そこで、そんな方のために「ケアマネジャーを変えなくてもいい付き合い方のポイント」をお伝えします。

何度か書いていますが、一番大切なことはケアマネジャーとの信頼関係です。担当のケアマネジャーのことを信頼、信用できるかどうかがかぎになってきます。

ただし、友達関係とは違います。あくまでもケアマネジャーとしての信頼と信用です。

たとえば、「適切に対応してくれるか」「困っていることを的確に理解して対策を見つけ出してくれるか」「分からないことに対しても、真摯に向き合ってくれるか」「この人に任せていいなと思える相手かどうか」という点です。

しかし、利用者本人がケアマネジャーに対して疑ってかかっている間は、相手もそれを感じています。そのため、利用者本人や家族からも歩み寄ることや心の内をしっかりと話し頼ることが大事になります。なぜなら、そうすることでケアマネジャーも、利用者や家族が自分に「頼ってくれている」「しっかり相談してくれている」とわかりケアマネジャーの心も近くなってくるからです。

そして、ケアマネジャーに対して不満や不安なことがある時もきちんと話すことです。ケンカ腰に話しをするわけではなく「このことは不安なんだ」というように、心配に思っていることをしっかり伝えることで、ケアマネジャーがそこに気づくこともできるし、今後そこに注意して対応していくことができるようになります。

その時の注意点としては、やはり友達同士のような関係はNGということです。なぜなら、ケアマネジャーは、仕事と割り切って対応しなければいけない場面もありますし、話し合う内容も決していいことだけではなく、いろいろな提案などをしなければいけない場面があるからです。

そのため、家族とケアマネジャーが友達同士のような関係になってしまうと、適切な支援が受けられない可能性が出てきます。

たとえば、お互いにルーズな部分が出てきてしまうなどです。具体的には、月に一回の訪問を電話ですまされたり、家族への説明も簡単にされたりすることがあります。

このようなことからも分かるように、適度な距離感をもって担当ケアマネジャーのことを信頼し信用することが大切です。

対ケアマネジャーだけでなく、どんな相手にも信頼、信用してもらうには「まずは自分が相手を受け入れること」が重要になります。その姿勢を忘れずに、ケアマネジャーとも向き合ってみて下さい。そうすることで、相手のことが理解でき、どんな人間なのかがわかります。

さらに、「利用者本人や家族と相性が合う人なのか」「ケアマネジャーとして信頼していいのか」もおのずと見えてくるはずです。

また、国が定めている介護保険法には、個人の有する能力に応じた支援をしなくてはいけないと記されています。つまり、介護者や介護サービスにすべて任せっきりではいけないのです。利用者本人も支援を受けることで自立した生活が営めるように、一緒に乗り越えていかなければいけないということもしっかり理解してお付き合いする必要があります。

結論として、ケアマネジャーを変えることは可能です。実際に変えている人もたくさんいるので気兼ねすることはありません。

ただ、変える前に「ケアマネジャーの何が嫌なのか?」「その関係性は変えられないのか?」「修復できないものなのか?」などをしっかり見極めることが重要です。また、変える場合も次はどんな人に担当して欲しいのかを考えてから行動すると、よりスムーズに運びます。

どちらにしても利用者本人や家族の生活に大きく影響を与えるであろうケアマネジャーとは良好な関係であることが望ましいです。ケアマネジャーを変えたいと考ええている方は、ぜひ今回の「ケアマネジャーを変える前に知っておくべきこと」を参考にしてケアマネジャーとお付き合いしてみて下さい。