独り暮らしの親にあったデイサービスを選ぶ3つのポイント

デイサービスの比較親も高齢になれば介護を必要とする状態になったり、一人での生活に不安を感じるようになったりする時が訪れます。しかし、周りの家族が親の一人暮らしを心配しても、親の生活を変えることは簡単ではありません。

たとえ介護が必要になったとしても、「住み慣れた家が一番落ち着く」という思いは皆さん同じなのです。

では、親の独り暮らしをどのように支えていけばよいのでしょうか。

自宅での生活を支えることも介護サービスの役割です。その中の一つに「デイサービス(通所介護)」があります。

デイサービスの目的は、主に「身体機能の維持・向上」と「社会との交流」「家族の介護負担の軽減」の3つです。

独り暮らしの親がデイサービスを利用するケースでは、「自宅で閉じこもりにならないようにするため」という理由が多くを占めます。そのため、デイサービスを選ぶ時には、親が「落ち着いて過ごせる」「他者と交流することができる」というような観点から探します。

具体的には、「デイサービスの雰囲気」や「利用されている年齢層」「デイサービスの規模」などを比べて選ばれることが多いです。

しかし、デイサービスではその他にもさまざまな特徴があることをご存知でしょうか。

独り暮らしの親が利用するケースだからこそ、その他のサービス内容や取り組みにも焦点をあてて事業所を選ぶことで、さらにお得になるのです。

そこで今回は、「独り暮らしの親を支えてくれるデイサービスを選ぶ3つのポイント」についてお伝えします。

レクリエーションの内容

独り暮らしの親を支えてくれるデイサービスを選ぶための1つ目のポイントは、レクリエーションの内容です。

デイサービスでは、集団体操のほかにも機能訓練を兼ねて、「手芸」や「塗り絵」「脳トレ」「カラオケ」などのレクリエーション活動を行っています。独り暮らしの親にとって、自宅ではなかなか取り組まないことを行えるという点では楽しみの一つになります。

普通はデイサービスに通う楽しみの一つとして、レクリエーションの内容に注目することが多いです。

しかし、今回は「独り暮らしの親を支えてくれる」という視点からレクリエーションに焦点を当ててみたいと思います。

買い物支援

たとえば、独り暮らしの高齢者が生活する上で困っていることを調査すると、「買い物」という項目が必ず挙がります。

買い物に行けなくなる原因は、主に2つあります。

1つ目の原因は家の立地条件です。たとえば、「家が高台にあること」や「スーパーまで遠い」など、自宅を取り巻く環境の問題です。

そして、2つ目の原因は親自身にあります。加齢に伴って、体力が衰えたり足腰が弱くなったりすることで買い物に行くことが難しくなるのです。

このように、自分で調理する能力があるにも関わらず、「買い物に行けない」という理由で自炊ができなくなることがあります。

しかし、買い物に行けないことが原因で、料理をあきらめてしまうのは勿体ないことなのです。

なぜなら、食事の準備は「日常生活動作の中で最も効果的な認知症予防法」と言われているからです。食事の準備は、メニューを考えることから始まります。さらに、メニューに合わせて手順を考えながら、食材を切ったり炒めたり、味付けする必要があります。この一連の作業が、認知症予防に良いと言われています。

また、自分で買い物に行って、お金の計算を行うこと自体にも認知症予防に効果があるのです。

そこで、買い物に困っている親の生活を支えるために、デイサービスの「買い物レクリエーション」を活用することをお薦めします。

デイサービスでも独り暮らしの利用者からの買い物への要望が高まっています。そのため、買い物レクレーションを取り入れている事業所が増えてきています。

デイサービスの行事として、月に1.2回程度の買い物レクリエーションを行っている所が多いようです。ただ、事業所によっては、「週に一度は買い物レクリエーションを行っている」という積極的な所もあるようです。

独り暮らしの親にとって、デイサービスを楽しみながら「買い物」という問題も解決できて、一石二鳥と言えます。

外出支援

また、加齢に伴って外出すること自体にも難しさを感じる方が多くなります。そのため、日常生活に必要な最低限な場所にしか出かけないという親も多いのではないでしょうか。

さらに、周りの家族にも仕事や生活があるため、頻回に親と外出する機会を作ることは難しいのが現状です。

そこで、デイサービスでの「外出レクリエーション」が重要になります。

デイサービスの一日の過ごし方はさまざまです。たとえば、リハビリテーション(以下、リハビリ)に力を入れているデイサービスでは、午前中は集団リハビリを行って、午後からは機械などを使った個別リハビリに取り組みます。この場合、外出や買い物などのレクリエーションの機会は少なくなってしまいがちです。

また、デイサービスの規模が大きく利用者が大人数の場合も、外出に行く回数が少ない傾向にあります。なぜなら、大人数の利用者が外出するためには車やスタッフの数を確保する必要があるからです。

逆に、専門的なリハビリは行えないけれど、外出を積極的に取り入れているデイサービスもあります。外出では、季節の花を見に行ったり、外食を取り入れたりなど、普段の生活では行けない場所にも行くことができます。

このように、デイサービスに通うことで、独り暮らしに必要な「買い物支援」や「親の外出支援」も合わせて組み込むことができるのです。

しかし、これらは事業所によって内容や回数にも違いがあります。また、レクレーションの内容は実際にデイサービスに問い合わせなければ知ることができない情報です。そのため、「どのようなレクレーションを行っているのか?」は、家族が自ら調べる必要があります。

リハビリテーションの内容

独り暮らしの親を支えてくれるデイサービスを選ぶための2つ目のポイントは、デイサービスで行っているリハビリテーションの内容です。

加齢に伴って、身体能力は少しずつ衰えていきます。独り暮らしのケースでは、親自身が掃除や洗濯、食事の準備などの生活に必要な家事全般を行います。そのため、家族と同居をしている親に比べると、生活の中で自然と体を動かす機会は多くなります。

しかし、生活動作だけでは、安全に生活するための体を維持することは難しいのです。

たとえば、骨盤のゆがみや姿勢の曲がりは意識しないと治すことができません。若い頃は足に筋力もあるため、体のゆがみがあったとしても、バランスをとりながら行動することができました。ところが、加齢に伴って筋力が落ちると、バランスを崩した時に足の筋力で支えることができずに転倒しまいやすくなります。

つまり、加齢に伴って転倒が増える原因には、体の歪みや筋力の低下が関係しているのです。また、日常生活での動作だけでは、体の歪みや足の筋力を維持し続けることは難しいのです。

生活では鍛えれない所を集中的に

デイサービスでは、集団体操や簡単な機能訓練を取り入れるようになっています。

また、一人では家事が難しくなってきている人に向けて「生活リハビリテーション」を行っている事業所もあります。具体的には、「調理」「洗濯」「食器拭き」などの日常生活に必要な動作をスタッフと一緒に行うものです。

しかし、独り暮らしの親は、自然と日頃の生活でそれらのリハビリテーションは行うことができています。そのため、生活リハビリテーションではなく、日頃の動作だけでは鍛えることのできない部分をリハビリテーションに取り入れる必要があるのです。

たとえば、専門の機器を使って足の筋力を増やしたり、専門のスタッフに指導を受けて姿勢を矯正したりするリハビリテーションに取り組む方が効果的だと言えます。

デイサービスの中には、特色を出すために「リハビリテーション特化型」とうたっている事業所もあります。

リハビリテーションに特化しているデイサービスでは、スタッフの人員配置にも違いがあります。具体的には、介護職員だけでなく、リハビリテーションの専門知識を持つ「理学療法士」や「作業療法士」「言語聴覚士」などを配置しています。

また、平成27年頃よりリハビリテーションを主に行う「通所介護半日型(半日型リハビリデイサービス)」が増加傾向にあります。通所介護半日型では、食事や入浴がありません。利用時間が午前と午後の部に分かれており、短時間で集中的にリハビリテーションを行っています。

リハビリテーションの内容も機械などを使って筋力を高める「パワーリハビリ」が主になります。

このように、他者との交流だけでなく、「どのようなリハビリテーションを行うことができるのか?」ということも大切なポイントになります。親が体の状態に合わせて適切なリハビリテーションを受けることができれば、独り暮らしを続けていく力を維持することにも繋がるのです。

食事の提供

独り暮らしの親を支えてくれるデイサービスを選ぶための3つ目のポイントは、食事の確保です。

もし、親が料理ができなくなった時、食事の確保が必要になります。たとえば、朝食はパンやフルーツなどで済ましたとしても、昼食と夕食の2食分は準備する必要があります。

ただ栄養のことも考えると、インスタント食品や冷凍食品ばかりを活用するわけにはいきません。

夕食用のお弁当を提供

通常のデイサービスは、9時前後に迎えが来て、夕方までデイサービスで過ごします。そのため、利用者全員に昼食が提供されます。(食事代は介護サービス費とは別に必要です)

独り暮らしの方のケースでは、昼食をデイサービスで摂って、夕食は配食サービスを利用している方が多くいます。しかし、配食サービスのお弁当ばかりでは味に飽きたり、好みの味ではなかったりすることもあるようです。

そこで、デイサービスが提供している夕食用のお弁当も合わせて活用することをお勧めします。

独り暮らしの利用者から食事のニーズ(要望)が増えていることもあって、デイサービスで夕食用のお弁当を提供する事業所が増えてきています。

夕食用弁当のサービスは、介護サービスには含まれません。そのため、別途料金(1食500円~600円程度)がかかります。また、提供できる数にも限りがあるため、大々的に広告していないことが多いのです。

そのため、実際にデイサービスに問い合わせたり、ケアマネジャーから情報を得る必要があります。

このように、デイサービスでは通ってきている時間だけではなくて、利用者の生活自体を支えるためのサービス内容にも工夫を凝らしています。

平成29年6月現在、私の住む北九州市だけでもデイサービス(通所介護事業所)が278事業所あります。少人数の利用者を対象とした「地域密着型小規模通所介護」や認知症を専門とした「認知症対応型通所介護」を含めると、その数は334ヶ所にもなります。

そのため、数多くあるデイサービスの中から利用者に選んでもらえるように、デイサービスでは様々なサービスを取り入れて特色出していこうとしています。

ただ単に、他者との交流だけのためにデイサービスに通うことが勿体ないといえます。

もちろん家族だけでは、多くのデイサービスから「親に合った事業所を選択する」ということはとても困難です。

また事業所の持つ特色は、実際に問い合わせたり見学に行ったりしなければ、知り得ることができません。そのため、介護サービスを利用するときには、デイサービスの情報を多く持っている介護の専門家やケアマネジャーと相談しながら決めていくことが大切です。

さらに、ケアマネジャーに任せるだけではなく、家族自身も「親の生活に必要な支援は何なのか?」という視点を持ってサービスを選ぶことが重要です。それによって、「親の一人暮らしを今後も維持できるかどうか?」が変わります。

ぜひ今回の「独り暮らしの親を支えてくれるデイサービスを選ぶ3つのポイント」を参考に、家族で話し合われてみて下さい。