在宅の介護サービスを利用するためのケアマネージャーの選び方

在宅の介護サービスを使う中で、中心的な役割を果たしてくれるのがケアマネージャーになります。例えばケアマネージャーが行う仕事の中には、介護保険の各種手続き、毎月の介護計画、介護事業所との連絡調整などがあります。

同じ資格を持っているケアマネージャーですが、提案する内容が担当するケアマネージャーによって違うことをあなたはご存知でしょうか?

そのため、ケアマネージャー選びを誤ると、介護を必要とする高齢者の認知症などの病態が早く進むことになる可能性があります。またそうなると、「介護サービスを使っているのに家族の負担はほとんど減らない」ということにもつながります。

いつまで続くかわからないのが、介護の難しいところです。介護する家族の負担が限界に達しないよう、しっかりと対応してもらえるケアマネージャーを選んでいきましょう。

それでは、どうすれば良いケアマネージャーを見つけることができるのでしょうか?

今回は、「ケアマネージャーを選ぶ際の3つのポイント」について解説します。

ケアマネージャー選び3つのポイント

担当のケアマネージャーを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。そうすることで、より適切なサービスを提案してくれるケアマネージャーを見つけることができます。

そこで、以下にケアマネージャーを選ぶ際の3つのポイントについて記します。

ケアマネージャーの経験年数を確認する

1つ目のポイントは、同じケアマネージャーでも、担当した利用者の経験数が一人一人違うので、「どれだけ経験があるのか」ということを、きちんと確かめるということです。

1998年に「介護支援専門員」というケアマネジメント業務を行うための資格が誕生しました。

したがって、10年以上の経験を積んだケアマネージャーもいれば、資格をとって間もない人もいます。

介護の問題は「介護サービスを拒否する母親をどのようにして説得するのか?」、また「認知症が進行して、一人暮らしが難しくなった父親をどう支援するのか?」など、人それぞれ違います。

介護の問題なら何でも知っているのがケアマネージャー」と思われる方もたくさんいますが、現実はそうではありません。これまで経験した中から最適なアドバイスをしてくれるだけなので、当然ながら個人によって差が大きく出てきます。

とはいうものの、こうしたケアマネージャーの経験数はどうやって確認すればよいのでしょうか?

ケアマネージャーの中には、30代で経験年数10年以上の人もいれば、50代だけど1年未満の人もいます。また、10年以上経験していても自信のなさそうな人もいれば、資格を取得したばかりだけど頼りになる人もいます。

そのため、結局は直接ケアマネージャー自身に聞いてみるしか、経験数を知る方法はありません。ただ、初対面でいきなり経験年数について質問するのも気が引けてしまうかもしれません。しかし、介護計画を依頼した後に確認しても意味がありません。

例えば、「在宅のケアマネージャーをされて長いのですか?」と、さりげなく質問してみるとよいでしょう。このような問いかけであれば、相手に不快な思いをさせることはありません。

そして、質問を受けたケアマネージャーの回答により、「どのような経験を積んできた人なのか」ということを確認することができます。こうした質問に対し、経験が豊富なケアマネージャーであれば、あなたの参考になるような体験談なども交えながら快く答えてくれるでしょう。

逆に自分の経験に自信のないケアマネージャーであれば、嫌な顔をするかもしれません。

このように、相手の答え方によって、経験数だけでなくケアマネージャーの性格なども判断できます。一度きりの質問なので、必ず行ってください。

ケアマネージャーの性格を見分ける

2つ目のポイントは、「依頼する前にケアマネージャーの性格を見分ける」ということです。

介護サービスを使っていく上で、ずっと付き合っていくのがケアマネージャーです。せっかくでしたら、友人や人生のパートナーと同じように、気の合う方にお願いしたいと思いませんでしょうか?

ケアマネージャーの中には、あなたの悩みをじっくりと聞いてくれる人もいれば、自分の意見ばかりを押し付けようとする人もいます。

また、相談内容でわからないことがあった際に、周りに聞いたり本などで調べたりする人もいれば、わからないままで終わらせる人もいます。このように経験年数が長くても、自己中心的で成長意欲のないケアマネージャーが担当になっても意味がありません。

とはいうものの、人それぞれ相性というものがあります。そのため、私が「良いケアマネージャーだ」と感じても、「あなたにとっては……」ということもあり得ます。

ですから、性格を判断するためには、お願いしようとしているケアマネージャーの話をじっくりと聞いてみることが大切です。

また、相手の話を黙って聞いているだけでは判断できません。そのため、相手の性格を判断するための質問を事前に用意しておくことをお勧めします。

そして、ケアマネージャーへ行う質問には、あなたが気になることを全て入れるようにしてください。

「あなたの質問 → ケアマネージャーからの回答」を繰り返していくうちに、別の質問も思い浮かぶはずです。そういった場合は、遠慮せずにどんどん質問して、あなたとの相性を確かめましょう。

所属している会社のしがらみについて調べる

3つ目のポイントは、ケアマネージャーが所属している会社などで、しがらみがないかを見極めるということです。

介護保険といえば「公的なサービス」というイメージがあるため、営利は求めていないと思われがちです。しかし、実際はそうではありません。

社会福祉法人、株式会社、NPO法人等、いろいろな事業主が介護事業に参入しています。そして、当然ながら職員の安定した生活を守っていくための利益は追及しています。

そのため、事業主は利用者を増やさなければなりませんし、そこで働くケアマネージャーもその支援を行わなければなりません。すると、「なるべく所属している会社の介護サービスを使ってもらおう」という考え方になるのです。

すべてのケアマネージャーがこのような考え方であるというわけではありません。しかし、実際にそのようなケアマネージャーは少なくありません。

そして、そうしたことを見極めるポイントは、「あなたと利用者ご本人の要望を細かく聞いてくれるか」ということです。

もし、しがらみがある会社の中で働くケアマネージャーであれば、たいした質問もせずに自社のサービスを勧めてきます。それは、あなたからいろいろな要望を聞いていくと「希望に合わない」ということで、自社のサービスを案内できなくなる可能性が高まるからです。

こうしたことから、あなたの要望をきちんと聞いてくれないケアマネージャーであれば、相談だけで終わらせる方がよいでしょう。

以上、3つのポイントに注目することで、頼りになるケアマネージャーに出会える確率は高まります。一度お願いしてしまうと、あとで変えづらいのがケアマネージャーです。

担当を変えるということは「あなたの対応に不満があります」と言っているようなものだからです。

また、あなたが変えることを決心したとしても、利用しているご本人が「お世話になっているケアマネージャーに申し訳ないから」という理由で変更できないケースもあります。

そうならないためにも、ケアマネージャーを選ぶ際には、初めにしっかりと時間をかけて、選択することが重要になります。

そうすることで、担当のケアマネージャーを選ぶまでは大変ですが、介護サービスを使ってからが楽になりますので、ぜひ実践してみましょう。

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